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新しい記事を書くことで広告を消すことができます。 『ミミズクとオリーブ』
2010.03.18 Thursday
芦原すなおの語り口の巧さは一級品だなあと再確認しました。「僕」と周囲の会話が漫才のようでとても面白い。 ミステリとしては少々物足りないのが残念ですが、情景描写が豊かでゆったりと時間が流れる家庭が魅力的です。奥さんの人物造型は男性の求める理想像なんでしょうね。 『螺旋階段のアリス』
2010.03.18 Thursday
ミステリーとして若干弱い部分もありますが、『不思議の国のアリス』からのモチーフを効果的に使った味のある秀作です。 脱サラした中年男とどこか不思議な印象の美少女という組み合わせが面白く、取り扱う事件の内容も日常的で穏やか。視点が優しく読んでいてとても気持ちが良いです。起承転結も綺麗にまとまっていて、過不足なく収拾しています。 特に贔屓したい作品は『最上階のアリス』でした。夫婦の愛情を垣間見る傑作です。 読後夢から覚めたような気分になる、ふわふわとした感触の作品です。お薦め。 『LOVE LOGIC―蜜と罰』
2010.03.18 Thursday
表紙を捲ったところに登場人物の写真と設定が載せられていたんですが、必要性を感じない上に想像力の阻害にしかなりませんでした。間取り図も作中では意味を成しませんし、一体どうして載せたのか分かりません。 前半の小説は文章が稚拙な上に構成が稚拙なおかげで楽しめず、後半に至ってはゲームブックである必要性がありません。伏線を張って展開させるという事をしないのでその場その場で唐突に事が起こります。登場人物の過去に関しても場当たり的で面白みがなく、素人の方がまだましな作品が作れるのではないかと思います。タイトルの『LOVE LOGIC―蜜と罰』も巧いとは言えず、何故このタイトルなのかが分かりません。 全体的に粗雑な駄作です。 というか、記念作品がこんな駄作で良いんだろうか。 『人形はこたつで推理する』講談社文庫
2010.03.05 Friday
鞠夫のキャラクターがユニークで、かつてない探偵像でしたのでとても楽しく読めました。トリックも決まってるし読後感もあたたかい。 ただ、四話目のラストは何故か少し冷めました。三点リーダーの多さが気になったのかもしれません。 壬生義士伝 上・下
2010.03.05 Friday
家族を養うのって普通のことです。奥さんを好きでいるのって普通のことです。生きることに一生懸命でいるのも普通のことです。普通を守り通すことがなんと難しい時代なのか。 武士が全て死に絶えてしまっても吉村寛一朗は死なせてはならないと言った斎藤の言葉が沁みました。 永遠の朝の暗闇
2010.03.05 Friday
不倫という題材があまり好きではない所為か一章を呼んでいる間中苛々してしまって、志麻子さんの本にしてはなかなか読み進められませんでした。香奈子の言動がまるで子供なことも理由ですが。 一章とは打って変わって、二章のシイナにはとても好感が持てます。というか、シイナには著者自身の過去を投影しているんでしょうね。感情描写がとてもリアルです。特に子供に対する感情が切実で、シイナと三章で出てくる娘には強く生きて欲しいなと思いました。 『きらきらひかる』新潮文庫
2010.03.05 Friday
シンプルな恋愛小説でした。ホモとアル中の夫婦、旦那の彼氏、設定は奇異ですが、とてもシンプルにあたかも当然のことのようにさらりと書いてしまうので、すんなりと文章に溶け込めます。ラストでは登場人物たちの「ズレ」はそのままに、柔らかな幸福感に包まれて本を閉じました。 『ゲルマニウムの夜』―王国記〈1〉
2010.03.04 Thursday
花村萬月初読。 花村萬月は小説をあまり読まない小説家だと聞いていたので筆力にはさほど期待しなかったのですが、良い意味で裏切られました。文章の力強さは圧巻です。否が応でも読ませる小説。 修道女が自ら朧に犯されるシーンが良いです。堕落という言葉がすぐに浮かび、それが信仰というものへの暴力のようにも思えます。モスカ神父と対話するシーンは素晴らしい。 生々しいほどのリアリティのある文体、大胆なほどに恐れのない描写。こういう作家はなかなか見ません。 ただ、言いたいことや書きたいことは分かるけれど、本作ではそれが明確な形になっていない気がしました。唯一にして最大の欠点はそこです。 シリーズもののようなので、本作以降を読んでみます。 『ハサミ男』講談社文庫
2010.03.04 Thursday
美少女を殺害し、研ぎあげたハサミを首に突き立てる猟奇殺人犯「ハサミ男」。3番目の犠牲者を決め、綿密に調べ上げるが、自分の手口を真似て殺された彼女 の死体を発見する羽目に陥る。自分以外の人間に、何故彼女を殺す必要があるのか。「ハサミ男」は調査をはじめる。精緻にして大胆な長編ミステリの傑作! 稚拙な作品といえば稚拙なんですが、とても気に入ったので星四つで。 展開がややご都合主義に過ぎ、叙述トリックの使い方も巧いとは言えません。中盤くらいで真相に気付いてしまいますし、なにより設定にかなり無理があります。無理と言うか、無茶と言うか。 筆力は全くないに等しく、描写と呼べるものがありません。なにが起こったか、「わたし」が今なにを思っているか、それらをただ「説明」するだけ。その為心理描写が全くできておらず、登場人物の心の動きがちぐはぐで唐突です。二重人格という設定はこの筆力では到底扱えない。ただ、文体に癖のようなものが全くないので読みやすいとも言えます。なにぶんこの著者の本を読むのは本作が初めてなので、本作以降どのような成長を遂げているのかは分かりませんが。 センスの良さはどことなく感じます。設定が結構好きなんですよ。筆力と構成力がついてくれば良い作品が書けると思います。 個人的に好きな作品です。『ハサミ男』以降の作品を読んでみたい。 『沈黙の教室 』ハヤカワ文庫JA
2010.03.04 Thursday
序盤で記憶喪失の男が登場するところが秀逸です。読者の目になってくれるのですっと物語に入れます。恐怖新聞と聞けば漫画を思い浮かべるんですが、これが妙におどろおどろしい。折原さんは典型的な怪談が好きなんでしょうか、妙にツボを心得ています。 中盤くらいで過去の恐怖新聞の発行者が誰だったのかに気付き、三分の二まで読んだところで犯人も真相も分かってしまうのでさほど意外性はありません。こうなるだろうな、という予想がそのまま実際の展開になります。ですから騙されたいという方には不向きのように思います。 お薦め。 |